スペインギターコンクール20082008/10/13 23:18

予選を聞き終わった時点で私が選び出した6人は
藤元高輝
井上仁一郎
阿由葉今日子
吉田潤
飯野なみ
木村祐
(敬称略)

ちなみにこの順番は私なりの採点順。この他に惜しかった人と言えば、藤澤みずき、大野元毅、井上郁夫と言ったところ。藤澤みずきは左右のタイミングの良さ・音楽性において抜群のセンスを見せたが、とてもミスが多かった。大野元毅は、かなりせつない、しかし独特のセレナータを聞かせてくれた。そして、独特すぎる故に、本選に残れないだろうとは思った。

しかしこの中の吉田は実際には残れず、代わりに溝口伸一が本選進出した。溝口は過去に本選出場して好演をしたことがあり、その印象があったので私も期待していた。ところが予選の演奏は、表現は圧倒的に面白いものの、ミスが多く、不確かなスラーも多くて、普通に考えるととても本選に行けるレベルではなかったと言える。それでも通過したのは、新参者のそこそこの演奏より、過去に定評のある人物を選びたいという考えがあったからだろうか。吉田潤が通らなかった理由に、仲間内で、彼の表現はセレナータではなかったという意見が出たが、それを言うなら木村祐の表現も全然セレナータではなかったと言いたい。
前々から思っていたが、このコンクールの二次予選審査には、その場で奏でた音楽だけではなく、過去の情報も絡んでいるようだ。とは言うものの、溝口伸一を通したことに、それほど異論があるわけではない。それだけ彼の表現には何かを期待させるものがあった。

本選の話に移る前に、予選を聞いていてひとつ強く感じたことがある。スペイン風セレナータの半音階進行の部分で、その進行をファソソ#と始めていた人が結構いた。1/5くらいいたのできっとそういう版があるのだろうが、この進行は100%あり得ない。ここの開始はファ#であるべきで、手稿譜までたどってシャープが書いてなかったとしても、それは書き間違いだ。理由を理論的に説明しようと思えばできるが、そう弾いていた人たちにはそんな理論よりも、この進行は「おかしい」という感覚を養って欲しい。そうした感覚は本来、西洋音楽を聴いていれば自然に身に付いてくるもので、それはアナリーゼ・和声学の勉強によってより確かなものとなる。言っておくが、こういう音階進行があり得ないと言っているわけではない。あのスペイン風セレナータの音作りの中で、このような進行は100%あり得ないと言っているのだ。

さて、本選は木村祐の演奏から始まった。彼の演奏を聞くのはクラシカルに続いて二回目だが、そのときに比べると明らかに成長していた。とりあえずクラシカルのレポートに書いた欠点は今回見当たらない。しかし、伴奏とメロディーを同じ音量で弾いたり、速いパッセージになると突然、早回しのようにさらに速くというのはいただけない。テクニカルなパッセージを速く弾くのは真っ当な音楽表現としてあり得るが、彼の場合にはそれが突然すぎて、音楽の流れを損なっている。また強弱にとても気を使って、きれいなピアノを聞かせてくれたのはいいが、表現が独自すぎるのも問題と言えるだろう。基礎メカニックが高いだけに非常に惜しい。

次は飯野なみ。とても音楽が整っているが、小さく固まってしまっているのが問題。また、ここぞという決めの部分に限ってミスをするのは、非常にマイナス点となった。これからの一番の課題は「迫力」と、「大事なポイントはあやふやにしない」ということではないだろうか。

三番手は溝口伸一。さすがに音楽は面白かったが、ミスが多過ぎる。また、他の5人に比べて、左右の手のタイミングが悪いのも気になった。おそらく彼自身にとっても不本意な演奏だったのではないだろうか。いつか、彼の表現したいものがちゃんと聞こえてくる演奏を聞きたいものだ。

阿由葉今日子も非常に残念な演奏だった。緊張のためか、プチ忘れを何度も何度も繰り返し、終いには音楽の推進力が全くなくなってしまっていた。前半の3人は正直言って、ベストの演奏をしても1位には遠い位置にいた。しかし彼女はベストの演奏をすれば1位になる可能性がある器だ。これから、人前で弾く練習を徹底的にしてみたらどうだろう。

5番目に登場したのは藤元高輝。彼を最後に聞いたのは二年弱前だが、そのときと比べて格段の成長を遂げていた。課題曲のアグアド「序奏とロンド」は、私が今まで聞いて来た中(プロも含めて)でもダントツの内容。これくらいに聞かせてくれると、この曲も非常に楽しいものとなる。ただし、もっと改善できそうな点は多々あるが・・・。それはともかく、自由曲も彼の技術力をアピールするベストな選曲。スペインギターコンクールという舞台で考えると、コンクール史上最高の演奏だったのではないだろうか。

最後は井上仁一郎。クラシカルギターコンクールで一位をとったときの演奏にさらに磨きがかかり、通常なら一位間違いなしの演奏。しかし今回は相手が悪かった。

今回私は、課題曲を100点満点、自由曲を50点満点で考えてみた。そこから考えた予想順位は、

藤元高輝(84/43)=127
井上仁一郎(70/38)=108
阿由葉今日子(63/30)=93
木村祐(62/30)=92
飯野なみ(57/32)=89
溝口伸一(46/30)=76

実際には阿由葉今日子が時間オーバーで6位になったが、他の順位はすべて予想通りだった。

表彰式が終わって、審査員から珍しく長めの講評が話されたが、それによると審査員15人中12人が藤元を1位につけ、他の3人が井上を1位につけたそうだ。藤元のアグアドに対して、古典音楽に小手先の技を駆使されるのは嫌だという人はいてもおかしくない。また、メカニックに優れているからと言って、それを前面に出した自由曲の選曲はどうなのだろうと思う人もいるだろう。だから、彼を一位にしなかった審査員がいたとしてもそれは不思議ではない。

とにかく、今年のスペインギターコンクールは楽しかった。

久々に感動したライブ2008/10/21 00:04

土曜日は、フィンガーピッキングで知り合った熊本のなゆたさんが来るというので、池尻大橋のChadへライブを見に行った。ではなく、「聴きに行った」と書くべきか。いや、でも、なゆたさんの場合には「見に」行く要素もだいぶある。

いやー、とにかく面白かった。

音楽もいいが、その他のエンターテナー的要素がまた非常にいい。ライブというものをこんなに楽しんだのは久しぶり。

実は今回、こんなに楽しめたのはなゆたさんだけの功績ではない。一緒に誰とやるのか知らないまま行ったのだが、AKI & Kunikoの、ギターと琴のユニットには正直驚いた。20人でもはや超満員状態の狭いライブハウスで、これだけの演奏を聞けるなんて思ってもいなかった。彼らは海外でも十分通用すると思ってネットを調べたら、すでにあちこちの国で演奏して、ドイツからCDも出ているとのこと。
http://www.hayamamoonstudio.com/AKI.htm

皆さんも是非一度聞いてもらいたいユニットだ。

26時間!2008/10/23 22:15

信じられないほどの快挙。

15年ほど前に点鼻薬を使い出してから今まで、こんなに長い間使用しないで過ごせたのは初めて。

今までにも、若干不思議系の力で結構それなりに良くなって来たことがあったけど、結局治らずに過ごしていた。しかし、長年点鼻薬を使用しているとさすがに副作用か、ここ数ヶ月はのどが痛い日が多くなって来て困っていたのです。

そしてここ2ヶ月ほど、高価な健康飲料をせっせと飲み続け、今この状態。

このまま、治っていけばいいな〜。
けど、今回はそろそろ限界。今回の記録は26時間ちょっとで終わりか・・・