音楽って2010/10/03 11:17

昨日、いわゆる「しろうと」さんの歌を、アマチュアのギター伴奏で聞いた。これが妙に心に染み入る。かすれ声で声量は全然出ていない。とは言え、音程は確かだった。

しろうとでもアマでもプロでも、音程のしっかりしていない歌はやはり聞けない。音楽で感動するとき、最低限これくらいまではやってくれないと感動も何もあったものではない、という基準がどこかにある。ただ、それはどうやら、曲によっても変わるようだ。この曲なら最低限これくらいまではやってくれないと、この曲ならこれくらいでも、みたいな、ある意味勝手な最低基準が、きっとみんなにもあるのだと思う。

この基準は音楽の方向性でも変わる。私は基本的にバロックはバロックらしく、古典は古典らしく弾かれるのが好きだけれど、セゴビアくらいまでやってくれると、そういったのはどうでも良くなってくる。セゴビアのバッハはバロック音楽ではない。でも、あれはあれでひとつの「美」だ。

音楽って何なのだろう。

演奏家=楽譜通りに音を出して、皆がその音楽をどう聴きたいかを考えて、そこにちょっとだけ自分の解釈を載せたりする人たち。
芸術家=確固たる独自の美意識を持ち、すべてそれに沿って動く人。

こんな風に考えてみるとどうだろう。芸術家は、その美意識が周りに受け入れられないとそう簡単に仕事ができない。というか、ほとんどの芸術家はそれを仕事に出来ない。一方、演奏家ならそれを仕事にして食べて行く事が出来る。でも、演奏家タイプの演奏に感動する事はなかなかないと思う。やはり、深く感動出来るのは芸術家の演奏ではないのだろうか。

最近、プレスティ&ラゴヤのバロックものCDを聞いたけど、彼らは芸術家だと思う。マルティン・ディラもその域に来つつある気がする。

とか言いながら、しろうとの歌にも感動出来るんだよな。感動の最重要要素は、やはり心だろうか。マルティン・ディラが弾くタンスマン《スクリャービンの主題による変奏曲》の、Youtubeの演奏は久々に感動出来たギター演奏だ。
http://www.youtube.com/watch?v=CmyJtNZk1uM&feature=related

でもCDで聞くとそれほど感動出来ない。いったい何が違うのだろう。


9月はコンサート、CD、ネットでたくさんのクラシックギター演奏を聞いた。その中でも特に心に残ったのは。

益田正洋〜バッハ《プレリュード、ルール》 BWV1006より
松田弦〜アルカス《椿姫の主題による幻想曲》
高田元太郎〜バッハ《無伴奏バイオリンソナタ第3番》
新井伴典&松田弦〜イベール《寓話I&II》
マルティン・ディラ〜タンスマン《スクリャービンの主題による変奏曲》
朴葵姫〜スカルラッティ《K.391》
プレスティ&ラゴヤ〜ヘンデル《シャコンヌ ト長調》
川井善晴〜ソル《魔笛による主題と変奏曲》

こんなとこかな。
今月もまたたくさんのギターを聞く予定。8日の谷辺昌央、10日スペインギターコンクール、11日富川勝智、23日アマゾニコ五重奏団、31日合奏フェスティバル。

今月はどんな感動が出来るだろう。

初めてのマスタークラス2010/10/06 18:10

と思っていたら実は違った。

考えてみれば、ギターを止める前に一度、福田進一さんのマスタークラスをギタルラで受けた事があった。何をどう指摘されたか全然覚えていないけれど、あるパッセージで「そこ、うまいね」と言われたのはよく覚えている。

ギターに復帰してからも一度、佐藤紀雄さんの公開レッスンを受けた。あれは確か、桐朋芸術短期大学の企画で、無料で受けられたものだ。そのとき紀雄さんは「こんな風に君にレッスンするとは思わなかった」と言い、私も「紀雄さんの公開レッスンを受けるような日が来るなんて思ってもみなかった」と答えた。

そういえば紀雄さんとは東京に出て来てから、比較的早い段間で知り合った。それと、周りに初見の得意な修行中ギタリストが2人いたこともあって、その頃はこんな風に音楽がよく分かって初見の出来るギタリストが東京にはたくさんいるのだと思っていた。でも、、、違ったのだな。

まあ、それはさておき、

今度10/9にGGサロンで谷辺さんのマスタークラスを受ける。曲はメルツの《Concertino》。私は二番手で、2時頃の順番らしい。

実は過去に受けた事があるとは言え、今のフォームで弾けるようになってからは初めてのマスタークラスなので、それなりに緊張している。いつも通りに弾ければいいのだが。逆にコンサートの方が緊張しないかも…。

今日習った事2010/10/09 23:22

若干いい加減なタッチで、他を邪魔しない音を出す。
開放弦の音を、そう聞こえないようにする。
自分の音をとにかくよく聴く。
pで一気に弾く和音でも、弾き方によってそれなりに分離が良くなる。
左手を音楽よりも先に動かす(指揮者のように)。
難所のシステマチックな克服法。
ピエッリの特殊なハイポジションの弾き方。

今日はとにかく、技術的な面ばかりを質問してそれに答えてもらった。
やっぱりこんな風にレッスンを受けるのはいいな。指がまともになって来た自分が、これから練習すべき事がはっきりと見えて来た。

終わってからもう一人の受講者と3人だけでベトナム料理+ビール。
素直に美味しかったし、話も面白かった。今日一番の結論はこう。
「女性ギタリストは妊娠したとき、胎教に良い曲を練習するべき。間違っても《最後の日の夜明けに》など練習してはいけない」

第28回スペインギター音楽コンクール2010/10/11 01:40

去年は聞きに行かなかったが、今年は招待券をもらったのもあり、本選だけを聞いて来た。演奏順にちょっとした感想を書いてみよう。

最初に弾いたのは松澤結子。
課題曲の詩的ワルツ集がとても速い。しかし細かい音は鳴り切っていず、ホールの観客席には聞こえて来ない。間近で聞けば聞こえたのだろうか。それと、思いっきりの良い演奏には好感が持てたが、最強音は基本的にみな、つぶれて聞こえた。少しゆっくりした速度で、ていねいに全ての音をしっかり出す練習をやっているのだろうか? 基本的にとても好感の持てる演奏だけにおしい。

次は小暮浩史。
しっかりと「小暮節」を聞かせてくれた。彼も結構速めのテンポ設定だが、全ての音がクリアに聞こえてくる。今回、他の演奏者に彼が差をつける事が出来たのは、こうした速い動きの際の音のクリアさが大きいだろう。またアーティキュレーションもきっかりとしていて、実に小気味良い。これでもう少し柔らかい部分があったり、繰り返しの際にもっと工夫があったりしたら最高なのだが…。ただ、それを差し引いても、彼と他の演奏者の差は大きかったと思える。

次に弾いたのは原秀和。
課題曲はちょっとおとなし過ぎる演奏で、速い部分も全ての音がかすかに鳴っているような印象を受けた。自由曲の《グラン・ソロ》はアグアド編。元々に比べて弾きやすい版だと思うが、細かい音が結構いいかげんなところが多かった。全体におとなし過ぎる、あっさりした表現もどうだったのだろう。

後半は菅沼聖隆から。
詩的ワルツ集を皆速く弾き過ぎる中で、彼はいわば、ちょうど良い感じの速度で演奏した。速く弾きすぎて細部が全然聞こえなくなるよりは、これくらいの速度の演奏の方がずっとよい。ただ、ちょっとぎこちない、あるいはあどけない演奏に感じる。他の人が見せるような情緒が足りなかったのが残念。《グラン・ソロ》もしっかりと弾いていたが、アーティキュレーションがなさ過ぎる感じを受けた。

次は佐々木勇一。
速い部分の細部が比較的よく聞こえるが、速すぎて元々の拍とは全然違う形になっているところがあったり、音がかなりダンゴになったりしていた部分が気にかかった。ただ、気迫という点ではかなりあった。比較的ミスは少なく、きっちりと決めるところは決め、それなりにダイナミックもある。惜しむらくは、一音一音のていねいさがあまり感じられなかったこと。何と言うか「出しっ放し」の音が多く、音を出してからそれをコントロールすると言う意識がないように聞こえた。

最後は秋田勇魚。
課題曲ですぐ、彼が他の出場者よりも音楽的だというのがすぐに分かった。スケールの乱れなどがなければ、課題曲では一番の出来だったかもしれない。しかし自由曲になってから何かがおかしくなった。《ファンダンギーリョ》でイージーミスを繰り返し、次の《ロンデーニャ》では途中で完全に弾けなくなり、右手を振ってはまた弾こうとする。どうやら右手がつったようだ。その後、どうしても弾けないので、ラスゲアードを利用して一応曲を終わったように見せた。そして立ち上がり、ふらふらとそでに引っ込む途中で、彼はギターを持ったまま倒れてしまったのだ。
幸いその後すぐ正気になり、後で話した際には、ちょっと疲れているけどもう平気だと言っていた。極度の緊張から来たパニックだろうか。出場者の中で唯一、小暮に対抗出来そうな人材だっただけに残念だ。今回の出来事はすっぱりと忘れて、また次に励んで欲しい。


さて、課題曲、自由曲をそれぞれ100点満点で考えて、順位を付けてみた。その独自順位はこれ。

1位 小暮浩史(70+75=145)
2位 佐々木勇一(47+50=97)
3位 松澤結子(50+45=95)
4位 菅沼聖隆(48+41=89)
5位 原秀和(45+40=85)
6位 秋田勇魚 (62+-=)

しかし実際は

1位 小暮浩史
2位 佐々木勇一
3位 菅沼聖隆
4位 原秀和
5位 松澤結子
6位 秋田勇魚

松澤結子だけ、私が考えたよりも下に来てしまった。確かに、細かい音はほとんど、いかにも弾いているように見せる、といった弾き方だったので、この順位は仕方ないかも知れない。それでも私には、彼女の演奏、いや表現が、菅沼や原より、下手すると佐々木よりも魅力的だった。是非もう一度、今度はもう少していねいな演奏を聞いてみたいものだ。

酒量による健康調査2010/10/16 21:30

適度にビールを飲んだ後で、ワインをボトル

一本でちょうど=普通
半分=あまり調子が良くない
一本半=調子が良い

一年くらい前は
一本半=普通
だったんだけどな。

でも、これくらいの方が経済的にいい?