脳のイメージ2011/11/10 00:25

日曜から、最後の苦手パターンを突然違和感なく弾けるようになってきた。そうなった理由は、小暮、藤元の右手の動きを、土曜日に嫌というほど(!)見たからかもしれない。あれだけ動く右手のイメージがうまく頭にできてから弾くと、本当に弾きやすくなる。ジストニアは脳の病気なのだと、改めて実感した。

ただ最近は、気もかなり関わっているように感じている。今まで治ってくる過程で何度か、右手を気が突き抜ける感覚があった。また、最近ちょっと、中指の詰まりというか、中指に連動して人差し指が伸びてしまう現象がある。それがとても良くなったり悪くなったりしながら、特にこの最後の苦手なパターンを練習し始めるとどうしようもないほどこわばったりしていた。でもそのバランスが良くなるとき、何度か中指から気が入る、または出ていく感じを得ている。

話が変わるが、藤元の弾く、レゴンディの《序奏とカプリス》は本当に素晴らしかった。今までCD、YouTube、コンサートなどで聞いた誰のどの演奏よりも良かった。

ワインいろいろ2011/11/17 02:01

最近やっとワインをすぐ飲める室温になってきた。うちはワインセラーがないので、冷蔵庫とか暖房の効いた部屋で温度調節しないと適温にならないんですよね。

それはさて置き、最近珍しいワインを飲んだので、それについて書きたくなりました。

RAOUL'S 2009 RED BLEND

開けてすぐ飲んだ時は「大嫌い」という味。開いてないという感じとも違ったのできっとそういうワインなのだと思い、捨てようとまでしました。しかし二日後に飲んだら、個性的ではあるもののそれなりに飲める感じに。そこで初めて、これはデキャンタージュが必要なワインだったのかもと思い始めました。そして5日ほど経つと、やっと、ちょっと個性的だけどまあまあ飲めるという感じに。
明らかに開いてないという味は分かるので、そういうときはグラスを振り回したり、デキャンタしたりしてましたが、こういう味も空気に触れてここまで変わるのだと知ったひとときでした。

もうひとつ。初めてブショネのワインを飲む機会を得ました。ワインバーで隣の人のために開けたワインをウエイターがサーブせずに引っ込め、別のボトルを開けて出していました。お客さんがなぜかと聞くと、最初のワインは壊れているとのこと。で、そのお客さんは注がれた一杯を飲み終えると、次に同じワインをもう一杯と、勉強のために下げたワインも少しだけ飲ませて欲しいと言い出しました。そこで私も「こちらにも…」と頼み、初ブショネワインとなったわけです。その味は、本当に吐き出したくなるほどまずかった。青カビの味をきつくして、ホコリと共にワインに足した感じ? ここまでのブショネだと、ワインを一度も飲んだことがない人でもわかるでしょう。ちなみにそのお客さんは近所にあるCICADAという店のソムリエでした。今度行ってみなければ。

話変わって、最近鳥のつくねを赤ワインを主体に味付けして、その赤ワイン(メルロー)と共に飲み食いしたら、最高に幸せでした。ワインとつまみを無作為に合わせると、互いの味を損なうのが普通と感じています。そして、最高のつまみは、こんな風にそのワイン用に作らないとダメなのかと思った一瞬でした。ほんと、めんどくさい飲み物だ…

第54回東京国際ギターコンクール 本選出場者2011/11/19 22:26

藤元 高輝
Andrey PARFINOVICH
Florian LAROUSSE
Andres CAMPANARIO
小暮 浩史
Oegmundur Thor JOHANNESSON

確かこの順番の点数だったと思うが、点数表をメモってこなかったので、もしかしたら若干違うかもしれない。しかし、通ったのがこの6人であることは間違いない。
一方、私が勝手につけた順位を200点満点の点数と共に書くと:

Florian LAROUSSE 160
藤元 高輝 150
小暮 浩史 127
Andrey PARFINOVICH 123
Oegmundur Thor JOHANNESON 117

とここまでは問題ない。通るべき人が通ったという感じだ。しかしAndres CAMPANARIOが私のリストにどこに出てくるかというと、こんな感じだ。

山田 大輔 105
木村 祐 100
奥野 隆 89
中西 勇介 86
会所 幹也 85
Andres CAMPANARIO 65
Laura HUSBANDS 60
宇田 奈津実 48

なんと、下から数えたほうが早いところに位置している。ちなみにこれ以外の人はみな棄権した。

私が彼の演奏に低い点をつけた理由はただひとつ。ひたすら独創的な、ある意味「変な」音楽だったからだ。でも彼が通ったということはこういうことなのだろうか。

少なくとも2次予選においては、中途半端に正当な音楽を示すよりは、異端でも、途中で拍をずらそうが、突然速くなろうが、際限なく1小節単位でくどいリタルダンドをしようが、自分の信じる美意識を全面に押し出すだけ押し出したほうがいいのだろうか。

また、音色という要素が、少なくともこのコンクールにおいては結構重要に取られているのではないかとも思い始めている。まあ、確かにそれは、ギター音楽にとっての重要な一要素だ。その音色が優れていると、多少音楽やテクニックに難があっても、それをカバーして上に評価される気がした。

各奏者の詳しい内容は近々現代ギター誌にて。

第54回東京国際ギターコンクール 本選2011/11/22 01:42

本選の最初はAndrey PARFINOVICH。自由曲がバッハのBWV998より《プレリュードとアレグロ》、アグアドの《序奏とロンド》、ロドリーゴの《ソナタ・ジョコーサ》。二次予選の演奏と合わせてこの選曲を考えると、華やかなだけで中身のない演奏になってしまうのではないかと思っていた。そして聴き始めると予想したとおり、かなりあっさりした演奏が続く。バッハのプレビュードでは若干フレーズ感がおかしくなったり、アーティキュレーションが単調だったりしている。アレグロは速いだけで、低音のアーティキュレーションがない。アグアドでも、とにかく技術はあるのだが、音を切って軽やかにしたりという工夫が全くない。しかも楽譜の間違いをそのまま弾いている。課題曲の《エキノクス》も、本人は好きだと言っていたが、他の演奏者と比べると結構深みが足りなかった。しっかりとした音で正確に弾くことについては優秀だけれども、若干中身が薄いと感じる演奏だった。

小暮浩史はエキノクスから入ったが、前の彼よりずっと空気感がある。ぼちぼち良い感じ。次のムダーラ《アレクサンダーのパヴァーヌとガリアルド》では、パヴァーヌでの和音の流し方が気になった。ルネッサンス音楽でもアルペジオ風の和音は全然大丈夫なのだが、彼のアルペジオ風の和音の鳴らし方は、ルネッサンスのこの曲が持つ軽やかさ、清浄さを削っていた気がする。またガリアルドでも弾み方がちょっと足りなかったのが惜しい。次のパガニーニの、以前から弾いているソナタでは、ちょっとミスが多くなり、集中力にかけてしまった演奏。だが、ブローウェルの《円柱の都市》では、陰影の十分な好演を見せてくれた。その後に弾いたピアソラの《チキリン・デ・バチン》はアンコールピースという感じ。コンクールであることを気にせずにショーとして考えた場合、バランスのとれた選曲だったのではないだろうか。

次はOegmundur Thor JOHANNESSON(Ögmundur Þór Jóhannesson)。この人の演奏はある意味、とても面白い。とにかく響きを大切にし、カンパネラを多用して音を一瞬重ねる出し方を多用している。まるで教会で鳴っている音を聞いているようだ。エキノクスでも、結構実音をハーモニクスにしたりして、そういう音を作っていた。ミラノの《ファンタジア》もまあまあ素晴らしい。次のヴェルトミューラーの「ソナタ」より《アレグロ》においても、古典らしい軽やかな演奏が続く。しかし、ここらへんまで聞いてくると、ちょっとメリハリが足りない(むしろ意図的にそれを抑えている?)とか、輝かしい要素がないとか不満が出てきた。そこからゲルハルトの《ファンタジア》、ダンジェロ《2つのリディア旋法の歌》と聴き続けるとそろそろ、「はい、わかりました。確かにいいのはわかるんですけど、ちょっと他の雰囲気も聞かせてくれませんか」と言いたくなった。

次はFlorian LAROUSSE。予選の見事な《魔笛》があったので期待していたが、ダウランドの《フェアウェル》で始めたところ、少ししてど忘れ。しかも思い出せなくてまた最初から弾きだした。この曲は本当に美しい曲なのだが、あちこちで記憶不鮮明のためか、音楽の歪みが見られ、演奏を楽しむことができなかったし、もう一度止まるのではとまで思われた部分もあった。ダンジェロ《2つのリディア旋法の歌》では調子を取り戻し、なかなかの好演。エキノクスもここまでの人たちの中では一番良かった。レゴンディの《序奏とカプリス》も結構良い。とはいえ、どの曲も「結構良い」というレベルで、予選のときのように信じられないほどよいという演奏は残念ながらない。そして《フェアウェル》の失敗もあり、この時点でこの人が一位はないと思えてきた。

さて、次に演奏する予定>>だった<<のはAndres CAMPANARIO。ところが時間になっても現れない。連絡も何もなかったらしい。とりあえず演奏開始時間までは待ってみたが、すぐに理事を集めて協議、そして失格となった。私の予想をはるかに裏切って本選に来た人の演奏を聞いてみたかったのだが、残念。

しばし休憩が長引き、最後は藤元高輝。エキノクスはFlorianと甲乙つけがたい出来。バッハのヴァイオリン・ソナタ第3番から《アダージョ》《フーガ》を弾いたが、アダージョはちょっと、こんなにあっさりしていていいのかという気がした。また装飾の仕方にあまりバロックらしさを感じない。しかしフーガは見事で、声部の弾き分けがよく聞こえる演奏だ。主題のアーティキュレーションが若干不統一なのが気になったが、総合的には結構良い演奏。レゴンディの《序奏とカプリス》はFlorianのひたすら優雅に卒なくまとめた演奏と比べると、もっと劇的な変化があり、ところどころ思わず引きこまれそうな部分もある魅力的な演奏。惜しむらくは細かいミスを結構何度もしてしまったこと。それがなければ「ブラボー」と言いたくなる出来だった。ヘンツェの「王宮の冬の音楽」より《グロスター》は、彼のそれを聞くのはこれで3,4回目だが、今まで一番良い出来だったと思う。

聴き終わって私がつけてみた順位は、100点満点の点数と共に書くと
藤元 高輝 (67)
Florian LAROUSSE (61)
小暮 浩史 (58)
Andrey PARFINOVICH (55)
Oegmundur Thor JOHANNESSON (52)

実際の順番もこれと同じだった。


余談だが、ちょっと小さめの音でひたすらきれいに響きを大切に弾くOegmundurは、演奏以外ではかなり陽気な面白い人だった。彼は自分の美意識にとても自信を持っていて、それで受けいられなかったらしょうがないと言っていた。でも、来年もまた受けようと思うと言ったので、ちょっと輝かしさを見せるような曲も選ばないとダメだと言ったら、しぶしぶうなづいていた。今日の仕事を休みにしていたら、明け方の渋谷に付き合ったのだが。

作品15 Let It Be Scattered(ギター二重奏)2011/11/27 15:21

これは完全にポピュラーですね。発表当時は、この曲を弾きこなせるくらいの人は完全にクラシック志向で、こういった曲をやりたい人はこれを弾けるテクニックがないという時代でした。今だったら受け入れられるのかも。

ちなみに「Let It Be Scattered」というのは「散らかしたままにしておけ」というような意味で、この曲の主題である「Let It Be」にかけてそう命名しました。

http://www.spiritmusic.net/secret/4873h846s.htm