東京国際二次予選2013/12/14 22:02

明日の本選に駒を進めたのはこの6人。
Andres Campanario(Spain).
Wu You(China).
Marko Topchi(Ukralne)
小暮浩史(Japan).
Thomas Ellis(Britain).
Campbell Diamond(Australia)

5人までは予想と合っていて、狂ったのはAndres Campanarioでした。私はその代わりにAnton Baranovが入ると思っていました。まあ、Antonが落ちたのは、それはあり得るでしょう。でもその空席に入ってきたのがAndresだったのはちょっと意外。Andresの演奏は散文的で、何かと音楽をきります。しかし、バッハのようなフレーズの終わりと始まりが一致してしまうことの多い音楽で、不用意に切ってしまうと、聞きにくくてしょうがありません。すべてを置きに行って、音楽が流れない彼を取るよりは、多少ミスが合っても猪井とか吉住の方がよいと思うのですが。

実はこのAndres Campanario。以前にも私の予想を大幅に裏切って本選に出場しています。ということは単に、彼の考える音楽と、私の考える音楽が、徹底的に合わないだけなのかもしれません。。。

関係ない話ですが、今日はうなぎと寿司、そばを食べて、死ぬほど満腹です。

第56回東京国際ギターコンクール本選2013/12/16 14:40

以前、Andres Campanarioが私の予想を大幅に裏切って本選に出場したとき、審査員が彼のどこを気に入ったのかとても知りたくて、本選を楽しみにしていました。しかしそこに彼は、連絡なしに現れなく、後の話では食中毒で連絡もできなかったとのこと。今回も「ええ、彼が本選へ?????」という感じだったので、今度こそしっかり聞こうと、前にも増して期待していました。そしてまた、、、。
係員が電話連絡したら、もう次のホテルに移ったということで、所在も不明。一体何なのでしょう?

まあ、それはともかく、本選は非常に楽しめました。結果はこちら。
一位:Marko Topchi
二位:なし
三位:Wu You
四位:小暮浩史
五位:Thomas Ellis
六位:Campbell Diamond

今回は本当に「国際」らしいコンクールでした。皆例年なら上位三位内に入れる実力を持っていたと思います。その中でも、Marko Topchiは去年よりとても独創的で、惹きつけられるものがたくさんある演奏でした。一流のショーマンシップを見た感じ。この人の来年のコンサートは非常に楽しみです。私も彼が一位だと予想していました。
二位以下に関しては、根本的な優劣はほとんどなく、審査員の顔ぶれもかなり変わったので、どんな順位になるか全然予想がつきませんでした。逆に、今回の結果からこれからの審査の傾向が若干見える気がします。

Wu Youは他のみんなに比べて繊細さがない、逆に言えば非常に大胆な演奏。とにかく豪快に押して押して押しまくり、かなり速めの速度で飛ばしていたヒナステラの4楽章では、最後に飛ばしすぎて事故っていました。メカニズムは非常に確かでミスらしいミスは最後の方だけでしたが、全体に大味なところが、二位なしの三位ということでしょうか。

小暮浩史は今までよりもさらに進化した演奏を聞かせてくれました。彼の観客を惹き込む呼吸は、なかなか他の奏者には見られないものだと思います。ただ、ダウランドでとてもわかりやすい指のもつれが数回出てしまい、そういうミスをした人が他にいなかっただけに、やはり確実に順位を落とす要素となったでしょう。

Thomas Ellisの演奏は非常に丁寧で、音も非常に整っています。聞いていてすごく心地よいのですが、曲によってはもっとドライブ感が欲しい気がしました。上位の皆さんに比べると、ちょっとアピール度が少ない感じです。

Campbell Diamondの演奏は、一部にものすごく魅力的なところがあります。特にハンガリー幻想曲で、最後の派手な部分に至るまでの表現はとても好きでした。ただ、本人も言っていましたが、非常に神経質になってしまったようで、それが演奏に出て、全体に消極的になっていたのが最下位の理由でしょう。彼はギターを始めてからまだ4年で、その前は何も楽器をやっていなかったとのことなので、これからどんどん変わって行くでしょう。個人的にとても注目したい青年です。

それにしても、《エピターズ》という曲の良さが、最後までわかりませんでした…。私に、こういう曲を理解できる日は来るのでしょうか。

クリスマスプレゼントが!2013/12/25 22:02

Classical Guitar Magazineが今日届き、その楽譜レビューに「印象的な3つの時間〜ドビュッシーを讃えて」について、とても好意的な文章が載っているのを見つけました。最後の方を訳すと、「現代の作曲者による新しく魅力的で、興味深い曲を探している人がいたら、この曲は理想的です」という感じです。

とても嬉しい気分です。この歳でもクリスマスプレゼントがもらえるんだ!
http://www.productionsdoz.com/en/sheet-music-for-guitar/solo-guitar/tomiyama/DZ-1771.html

2013年(ギター関連)2013/12/31 23:34

まずは2月、ずっと前から弾きたかった自作「古祭」を初めて人前で弾きました。一応YouTubeにあげましたが、もっとうまい演奏を聞いてみたいところです。それは来年、10/24に実現する予定。それでも、ここまで弾けるほど指が回復してきたのは嬉しかったです。この曲は、ジストニアでダメになる前でも弾けなかったと思います。

同じ2月に、イーストエンド国際ギターフェスティバルで受けたマスタークラスはとても刺激になりました。ティボー・コーバンに、メトロノームでかなりゆっくりから初めて、目盛を5ずつ上げていく練習法を習いました。本番の日でも、半分くらいの速度から10ずつ上げていくと良いと言い、練習はほぼすべての時間をメトロノームと一緒にやっているという人に初めて会いました。

私は経験上、ジストニアに反復練習は悪いと感じていましたが、正しい反復練習ならタメになるということが、メトロノームを用いた練習でわかってきました。実は今でも、ある程度速い動きになるとフォームが崩れて、そのまま反復練習をしていると、どんどん悪くなっていきます。しかし、正しいフォームで弾ける速度に落として、そこで反復練習をやり、それを本当に少しずつ速くしていくのは、ジストニアを経験した人だけでなく、誰にでも役に立つと思います。

イーストエンドの後に、たまたま通訳をしていた田口さんからもらった、右手に関する助言も非常に役立ちました。その助言と正しい反復練習のおかげで、今また「古祭」を弾いたら、もっとずっと楽に、もっとうまく弾けるだろうという感じです。

3月は、こーき&ひろしDuoが弾く「Let it be Scattered」を聞きに沖縄に。彼らには6月、「Story for a never ending night」の初演もしてもらいました。同じく3月に、アマチュアに最適のギターソロを書き上げました。とても親しみやすい曲なので、早く一般に出したいのですが、まだ一年ほどは契約があって、依頼者以外には紹介できません。3月は、昭和音楽大学クラシックギター専攻卒業記念+10周年記念のコンサートもありました。高田元太郎さんの回復ぶりを見ることが出来て、思わず泣けてきてしまいました。

4月には、現代風のクールな変奏曲を書き上げました。T.S.君の目的のコンサートには間に合いませんでしたが、実演を聞いてみたいものです。

5月と言えばクラシカルギターコンクール。宮下仁司君の演奏がとても印象的でした。一位になった菅沼聖隆君も、これからどう変わって行くのか非常に楽しみです。その5月に書き終えたギターソロ曲「未来への希望」を、来年は積極的に人前に出していきます。全曲の初演は5/24(土)にルーテル市ヶ谷で、井上仁一郎君が行います。私も最後の2楽章だけを弾いて、少しずつ宣伝していく予定。この曲は、福島の出来事が過去ではなく、今も続いていることであり、それを認識して皆が希望を持つことによって、状態が良くなっていくことを祈って書いたものです。最初から弾けば弾くほど、その意味が伝わるので、是非2014年5月の初演を聴いていただけたら嬉しいです。

6,7月は結構忙しかったのですが、その中で聞きに行ったGuitar Duo Sindy & Tommiのコンサートは、とても楽しめました。CDも、とても気持ち良かったです。CDと言えば、この頃からどんどん、知人、友人のCDが出ています。その中でもとても新鮮な驚きが合ったのは、益田正洋君のCDでした。やっぱり結婚すると演奏が変わるのでしょうか。今までのCDにはないものがたくさん出ていました。河野智美さんのCDも、一皮むけた感じ。このCDで彼女を聞くのが初めてという人が多いと思いますが、今までよりもとてもしなやかになって来たように感じて、新鮮でした。井上仁一郎君のCDも、なかなか職人的で、響きをとても大切にするのが心地よかった。若い人たちはどんどん変わっていって、面白いですね。

そういえば何月だったか、熊谷俊之君のコンサートを聞いたのも衝撃的でした。昨年は若干不満に思えた部分が、今回はなくなっていました。彼はどちらかというとゆっくり目のテンポを選ぶ方です。一方私は、速度も音と同じくらい重要に感じるので、速度を落とすなら何かそれなりの、遅くしてよかったと思える表現がないと納得出来ないタイプです。その私が、速度など関係なしに感動できる「ロンデーニャ」を彼は弾いてくれました。その他のプログラムも、どれも素晴らしいものだったと思います。

8月のGLCギターコンクールでは、これからのギター界で目立ってきそうな逸材が何人か見えてきました。彼らがこれからどう育っていくのか、楽しみです。

9月にはある若手DUOのために曲を書き上げ、これも初演が楽しみです。10月はスペインギターコンクールで、飯野なみさんが一位を取りました。ここ数年、あちこちで何度か聞いてきたので、一位になってくれてとても嬉しいです。ちなみに、ある若手DUOと彼女は同じ門下です。

さて、自分の指の話になりますが、実は2月のコンサートの後で変な状態になっていました。pとamiの和音の交互を弾こうとすると、手がつりそうになってとても辛いのです。それがやっと治って、今までにないほどp指が安定してきたのが10月頃。11月には久々に2曲だけ人前で弾きました。それが、スピリチュアル的な集まりの、日頃クラシックなど全く聞かない人たちに対して。12月もその延長で、スピリチュアルな話をして一曲だけ弾くというのをやりました。私はこれから、自作コンサートに関してはあまり弾かず、それ以外の、この手の方向性で演奏して行きそうです。

12月と言えば、東京国際ギターコンクールですね。今年は面白かったです。本選の最下位でも、聞いていて面白かったし、コンサートがあったら是非聞いてみたいという感じ。ここ10年ちょっと、ほとんど毎年聞いていますが、一番最初に聞いたのは30年ほど前です。そのときは正直「えっ、これが国際? ギターの世界ってそんなに遅れているの?」という気がしました。それが今年ついに、どんな他楽器にも負けないほどの、本当の国際コンクールになった気がします。日本人で唯一本選に残った小暮浩史君も、今まで出てきた中では一番よい演奏だったと思います。数年前なら二位もあり得たでしょう。Marko Topchiの演奏も昨年より良く、とても魅力的でした。


今年を駆け足で見てきたら、結構長くなってしまいましたが、ここまで読んでいただいた方には非常に感謝いたします。そして、書き忘れた人がいたら、申し訳ありません。。。

来年は5/24(土)にフルート・ギターを中心にしたコンサートをルーテル市ヶ谷で、10/24(金)は杉並公会堂でギターソロ作品だけのコンサートを行います。その一方で作品はどんどん増やしていきます。今手がけている、ギターとピアノのための「さくら」の変奏曲は、明日にでも仕上がるでしょう。

皆様、良いお年を。