《ラヴェルの墓》のレビューが2014/03/08 22:46

《ラヴェルの墓》のレビューが今月のClassical Guitar Magazineに載りました。なかなか正直な感想が書かれています。

要約すると、

Preludeはなかなかラヴェルらしい和音が出てくるし、いいんじゃない。
Fugueは音楽的になんだか難しそうだね。
Toccataは何、これ? こんなちょー難し―曲初めて見たよ。しかも作曲者の言葉によると、「すごく難しい」状態だったのをだんだんと簡単にしてきたので、今は単に「難しい」だけ? それって、「難しい」の言葉の定義が違くない?
しかもFugueとToccataでは、いったどこらへんがラヴェルなのか、俺は全くわかんなかったぜ。
この曲に挑もうと考えるのは、音楽的にかなり成熟していて、しかもかなりすごいテクニックを持っている人だけだろう。でも、なんとかやれそうだと思ったら、まずYouTubeの演奏を見てくれ。そして改めて、この曲が君にアピールするかどうかを考えたほうがいいよ。


そんな難しーかな〜(笑)。《アクアレル》とか《展覧会の絵》の方が難しいような気がするのですが。

この曲はToccataを最初に作りました。その楽譜を、国立音大の楽理科に行って、昔からかなり広範囲にクラシックを聞いている友人が見た時、「ラヴェルみたいになってきたね」と言ったのです。それがこの曲を書くきっかけとなりました。《クープランの墓》に習って古典形式の曲だけにし、Toccataの最初のモチーフを元にPreludeとFugueを作ったのが、この《ラヴェルの墓》です。まあ、Fugueにラヴェルらしさはほとんどないかもしれませんが。

でも、いい曲ですよ、って自分で言うのも何ですが、この曲には非常に思い入れがあります。ちなみにこれが、「この演奏を聞いてまだ弾いてみる気ならやってみれば〜」という感じで言われる元となるYouTube動画です。
http://youtu.be/m9j_qLJiUKg

3.112014/03/09 18:10

3.11です。
津波の被害がひどかった山元町は、小学二年から中二まで住んでいたところです。
実家の仙台に住む姉のために、毎日ネットでいろいろな情報を調べました。
行方不明となった母の消息はしばらくわかりませんでした。
一週間後に、別の特別養護施設に運ばれたのを知りますが、母や他の入居者を逃がすために、何人かの職員が亡くなったと聞きました。
母は、運ばれた先の施設で食事を気管に飲み込んでしまい、それが元で数週間後に亡くなりました。
震災のひと月後くらいに作った鎮魂歌です。


原発事故の後、今まで知らなかった、知ろうともしていなかったたくさんのことを知りました。
数カ月後、目先の利益ばかり考えずにもっと大きな目を持って、未来に良い世界を残せる人が増えるように思って書いた曲です。

この演奏は最初のバージョンで、2011/9の現代ギターに少し違ったバージョンの楽譜が載っています。


この祈りの曲の一部分を強調した形のギターソロ曲《Hope of the Future》が5/24に初演されます。

序奏として《故郷》を普通にアレンジしたものがまず弾かれます。第一楽章「穏やかな日々」では、《会津磐梯山》《相馬盆唄》《福島県民の歌》を引用し、そして《もしもピアノが弾けたなら》を引用したとはわからない程度に用いながら、震災前の活気ある生活を描いています。第二楽章「三つの災厄」は地震、津波、原発事故を克明に描写します。第三楽章「ふるさと」では、無残に変わり果てた《故郷》のアレンジが演奏されます。そして最後の「未来への希望」では、一楽章で引用とは別に出した、中心となるメロディーを用いながら、福島が力強く再生していくイメージを描いています。

当日は、聴きやすいフルート作品がメインとなります。もしお時間の都合が合えば、是非聞いていただけたら嬉しいです。
『冨山詩曜個展2014-05-24~フルート作品~』

これらの曲の真意が、一人でも多くの人に伝わるように、祈っています。