第45回 クラシカルギター・コンクール2014/05/05 12:13

かなり久しぶりのゆったりした朝です。
ゆっくりコーヒーでも飲みながら、クラシカルギターコンクールのことなど書いてみましょう。

予選を聞いてまず、この二人は絶対に本選に通ると思いました。
飯野なみ
斎藤優貴

その他はかなり混戦状態でしたが、通ってもおかしくないと思った人たちを、私の独自採点順で並べてみます。
伊藤亘希
閑喜弦介
田中春彦
藤原盛企
片根柚子
長佑樹
西田武史
吉住和倫
橋本淳史
森井英朗
大坪純平
山本大河
遠藤峻


この中で伊藤亘希が落ちたのはちょっと不思議でした。いつになくかなり攻めた演奏で好感をもったのですが、細部の詰めが甘かったのが敗因なのでしょうか。閑喜弦介は、自分なら通したかったけれど、独特すぎる表現だったので、落とされても仕方ないでしょう。結局残りの人たちから下記の5人が本選に残りました。
藤原盛企
片根柚子
西田武史
大坪純平
山本大河

この5人の演奏をメモを見て思い出してみると、少しでも鳴り切らない音を出していたのは片根くらいなもので、後は皆メカニズム的にはとても安定していました。比べて落ちた人たちは、音楽表現に光るものが合っても、ちょっとした不備があった感じです。ここら辺はさすがにコンクールの厳しさというところでしょうか。



本選の演奏は西田武史から。ちょっとミスが多く、まだ手に入れてない曲なのかと思ったほどです。後で聞くとかなり身体の調子が悪かったようです。

藤原盛企の演奏はすごく面白かった。エンターテイナー賞というのがあったらあげたいくらいです。でも、自由曲の曲による出来不出来が大きかったのが残念です。

山本大河は、さらっとし過ぎていて、ずっと聞いていると飽きが来るように感じました。特に、藤原のビックリ箱のような演奏の後だと、工夫が足りないように感じられて仕方なかった。

片根柚子は非常に理知的でまじめな演奏。課題曲のハンガリー幻想曲には向いていない気がしました。また、祈りと踊りの、最初から最後まで緊張しっぱなしの演奏も、もう少し自由で良いのにと思いました。

飯野なみは、とても自然で整った演奏です。課題曲はその泥臭さを取り去って、一般西洋音楽的に演奏していましたが、それはそれで心地よかった。自由曲に選んだテデスコのソナタは、構成感や迫力に若干の不満を感じたものの、音楽の緊張と弛緩をとてもうまく使い分け、ドラマのある演奏をしていました。

大坪純平の演奏は、本選出場者の中で一番音楽的だったと思います。彼は音楽の構成を理解し、それをわかりやすく表現する能力に非常に長けています。ただ、音色が他の人に比べると圧倒的に良くないのが気になるところです。

齋藤優貴も、かなり音楽的です。ただ、テンポ感が非常に気になりました。課題曲の後半部分と、ウォルトンのバガテル、5曲目のテンポは、全く若者らしくないものです。むしろ老練な演奏家が、意識的にゆっくり目のテンポを選ぶことによって細部を表現しようとするような、それくらい遅いテンポでした。もちろんそういったテンポを選ぶこと自体は良いことでも悪いことでもないのですが、今回はわざわざそのテンポを選んだ意味が感じられませんでした。

更に詳しい感想は現代ギターに書きますので、ここではこれくらいで。

聞き終わって自分なりに出してみた順位はこれ。
大坪純平
飯野なみ
斎藤優貴
片根柚子
藤原盛企
山本大河
西田武史

ただ、上位三人はどう入れ替わってもおかしくない僅差と感じたし、音楽性と音色のどちらをどれだけ優先させるかで、順位は変わると思っていました。

そして実際の結果は
一位 飯野なみ
二位 斎藤優貴
三位 大坪純平
四位 片根柚子
五位 山本大河
六位 藤原盛企
七位 西田武史

まあ、納得の結果です。


ちなみに、私なら一位を上げたかった大坪純平がメインの伴奏者となる、私のフルートxギター作品のコンサートが、5/24に迫ってきています。
http://www.confetti-web.com/detail.aspx?tid=120595

当日はかなり寂しい数の集客になりそうなので、皆さんよかったら足を運んでいただけると嬉しいです。前半の最後となる«歌と踊り 第一番»の踊り部分を一部、初演のリコーダーとギターバージョンでお聞きください。今回、真鍋・大坪ペアがこの曲をどこまで攻めこむのか、私自身も非常に楽しみです!
http://www.spiritmusic.net/secret/EarthDance.mp3