恵比寿 カリス サンデーサロンコンサート2014/06/15 22:25

近所の恵比寿にカリスというギター屋さんがあって、そこで月一のサンデーサロンコンサートというのがあります。アマチュアが10人ほど弾いた後で、たいていはこれからの有望株のミニコンサートがあるのが普通です。いつだったか、店長が「ミニコンサートに誰がいいだろう」と言っていた時に、私は昨年東京国際にも出ていた松澤結子さんをお勧めしました。で、今回は彼女のミニコンサート付きの、サンデーサロンコンサートでした。

何かの企画に知り合いのギタリストを薦めるのは、まだ二回目だと思います。一回目はホマドリームの雑誌に樋浦靖晃くんを勧めました。そのときは編集を手伝っていたので、インタビュー記事のキャッチフレーズを考えなければならなく、「ギター界で一番話題の少ないギタリスト」みたいな、なんか本人が言っていた言葉を元にしたものを考えた覚えがあります。

そして二回目が今回の松澤結子さん。彼女を初めて聞いたのは、結構前のスペインギターコンクールです。その本選で、「うわっ、ここまで大胆な演奏をする人がいるんだ!」と、とても興味深く思いました。そのときは思いが溢れすぎていて、一番強い音はことごとく潰れていたのをよく覚えています。

それに比べると、今回の演奏は非常に女性らしさが出てきていたように思います。こんな風に書くと「女性蔑視」とか思われがちですが、単純に女性は女性で、自分の利点を活かしてもいいのでは、と私は思っています。とてもよい演奏でも、他の男性たちと全く同じ傾向だとちょっと嬉しくないかな、という気がするのは私だけではないのではないでしょうか。実際、男女にかかわらず、人にはそれぞれ、その人なりの演奏があって欲しいと思います。それでこそ、いろいろな人の演奏を聞きに行く価値があるのです。どこでも聞けるようなタイプの演奏であった場合、それが世界一くらいに磨かれていないと、私は聞く気がしません。

彼女がこれからどういう方向に行くのかわかりませんが、わたし的には、今回の彼女の変化を見守り続けたい気分です。

ちなみに今回、ミニコンサートを聞くついでに私もエントリーし、10分の時間をもらってバッハと自作を弾いてきました。その際、自作を弾いている最中、客席でずっと「カサカサカサカサ」と音をたてている人がいました。プログラムを見なおしているのでしょうか。ただ、それにしても長過ぎます。「いったいいつまで続くんだ。もしかしたら自分の出すカサカサした音が聞こえていない?」とか考えていたら、見事に忘れました! いやー、こんなことでミスるようでは、まだまだ修行が足りないですね。

誰だったか、ピアニストでプログラムをめくる際のこの音が気になる人がいて、布のプログラムを作った人が過去にいました。それはそれで共感できますけど、このような音に惑わされずに弾けるようになりたいものです。ジストニアで一時はダメになった指が、今は問題なく動くのですが、頭のほうが忘れて指示を出せないのでは、弾きようがありません(>_<)。

ジストニアといえば、Sさん、Kさん、キーワードは「ヘミシンク」ですよ!

今回、演奏終了後、一通り飲み終わった後でカリスのショップに戻り、そこで330万円ほどするジャン=ピエール・マゼを、松澤さんに試走してもらおうという流れに。倍音が少ないタイプの清楚な音色なのに、結構甘い音色も出たりして、面白いギターでした。その後は参加者、聴衆として来ていた他の人(渡邊茜さん、多治川純一さんなど)もこのギターを弾いたり、次は小野薫さんのギターを弾きだしたり、今度は松澤さんが使っているマヌエル・カセレスや私が持ってきていた桜井を弾いたりして、それぞれのギターの違いを改めて納得する、なかなか楽しい夜でした。

このような会を毎月催しているカリスさんに感謝です!