作品12011/01/02 21:36

あけましておめでとうございます、

年末から風邪を引いていて、今ひとつ明けた気がしないのですが…。

それはともかく、今年は自分の曲の音源をひとつずつ紹介して行きます。最初は作品1のギター二重奏。これは、西洋音楽の様式美を引き継ぎながらも、それをさらに発展させようとしたもの。全体を一定の動機でつなぎ、変奏曲のスタイルをとっている。また、それぞれの変奏は、伝統的な様式を踏まえた形式になっており、音使いはバロックから多調までいろいろだ。日頃からクラシックを聴いている人たちに受けの良い作品。

Op.1:バッハ風のコラールを主題とする組曲
I.Chorale
II.Ballade
III.Canon
IV.Aria
V.Motive
VI.Passacaglia
VII.Fugue

音源はこちら。
http://www.asahi-net.or.jp/~qr7s-tmym/secret/4873h846s.htm

これから2,3週間おきくらいに、このURLで随時作品を紹介して行く予定。新しいのを紹介する際には古いのを消してしまうので、あらかじめご了承ください。
ギター曲には少ない、本格的なクラシックスタイルの曲をやってみたいと思った方は、是非HPからご連絡いただけると嬉しいです。

夢のメロディー2011/01/05 11:01

今日、何とも言いようのない変な夢を見た。その中で鳴っていた、これまた何とも言いようのないメロディーを起きてから採譜してみた。いつかこれを元に曲を作ってみよう。
http://www.asahi-net.or.jp/~qr7s-tmym/blog/strange.mp3

復帰戦とWeissの組曲2011/01/10 10:51

2/23に国立の学内でミニコンサートをやることにした。秘密兵器を持たず、完全な新フォームでの復帰コンサート。プレッシャーがかかるので手慣れた曲を弾きたいところだが、その「手慣れた曲」がない。完全にフォームは変わったし、演奏に対する考え方もかなり変わったので、どの曲を弾いても新曲のようなもの。ということで、こんなプログラムを組んでみた。


Fantasia/Francesco da Milano
Passemezzo y Branle/Adrian Le Roy

Suite D-dur/S. L. Weisss
Ouverture
Courante
Sarabande
Menuet
Passagaille

Sor’s Tombeau/Siyoh Tomiyama

Concertino/J. K. Mertz

Etude No.4, No.10/H. Villa-Lobos

Silent Moon/Siyoh Tomiyama


ルネッサンスから現代までのプログラム。ただし古典は、弾ける曲がなかったので自作だ。この中のWeissの組曲は、20代の前半に編曲したもの。それを今回初めて人前に出す。

20代前半の頃、Weissのロンドン手稿譜を一通り見て、当時手に入る限りのリュートの演奏を聞いて思ったのが、もっとどんどん弾かれていい曲がたくさんあるということ。でも実際にギターに編曲しようとすると、その中のほとんどは、リュートでこそとてもよく響くことに気づいた。つまり、下手にギターに編曲して弾いても、リュートの演奏を到底超えられないと思ったのだ。これでは編曲する意味がない。それでも何とかギターのレパートリーを拡充したくて、ギターに持って来ても良さそうな曲をあちこちから選び、調性を合わせて編曲し、長調と短調の組曲をひとつずつ作った。その長調版がこれだ。編曲後、いつか弾けるようになる日が来るのを待っていたら、ギターが弾けない人になってしまった。そして10年前に復帰し、今やっとこれを弾ける指になった。と言っても難しい編曲では全然ない。ただこういう、普通の動きが今までは出来なかったのだ。

このコンサートがうまく行ったら、少しずつライブ活動も復活して行きたいと思う。

菅原潤メモリアルコンサートとか19世紀ギターとか、山下和仁さんとか2011/01/15 22:37

菅原潤メモリアルコンサートはとてもよいコンサートだった。マリア・デュオの司会の元に、それぞれの演奏者が潤さんとの思い出を若干話したりしながら演奏が進み、ロビーには遺品である各種研究ノートが展示してあった。

特に後半は面白かった。まずは尾尻さんが、潤さんの遺品の7弦ギターで、ソルの《悲歌風幻想曲》を弾いた。このギターはコストが生きていた時代のギター(ラコートかそのレプリカ?)。初めて潤さんの家でこのギターを見たときは、なんで7弦目が必要か分からなかった。その頃の私のコストに関する知識と言えば、単なる練習曲の作曲者だったし。でも、最近コストのいろいろな曲を見た後では、この7弦目の存在がすごく欲しくなるのがよく分かる。

ところで今回の《悲歌風幻想曲》は、個人的にとても好きな曲だ。それを潤さんの遺品のギターで聞けたというのは、それなりに感激だった。演奏も良かったと思う。ただ…、19世紀ギターでもそれなりに響いていたが、私は現代ギターでの、もっと幅の大きな劇的な演奏を聞きたかった。そこでふと思ったのだが、19世紀ギターのために作られた曲だからと言って、それを19世紀ギターで弾くのは、ときには作曲者の意図に反するかも知れないと。ソルはちょっと断言するには微妙かも知れないが、例えばコストやメルツの後期の大曲は、明らかに音量・音域ともに幅の広い音楽を求めている。実際メルツは10弦まで弦を増やした。その彼らに今の時代のギターを聞かせたら、絶対その音量を気に入るだろう。そして、これからは19世紀ギターで弾くのは辞めてくれと言い出したかも知れない。そうは思えないだろうか。数あるソルの作品の中でも、特に《悲歌風幻想曲》は、現代のギターで聞きたい。

次は藤井敬吾さんがソルの作品7《別れ》、そして自作の《羽衣伝説》を弾いた。ソルの演奏はちょっとよく分からなかったが、自作の演奏はさすがだった。出来ればショートバージョンではなく、フルバージョンで聞きたかった。

そして最後の山下さんの演奏。ソルのエチュードをふたつ、《敬虔な祈りのように》《アンダンテ イ長調》を弾いた。私がソルの作品の中で大好きなのは、実は《悲歌風幻想曲》と、この《敬虔な祈りのように》。それを山下さんが弾くというので期待が高まった。
聞いていて、やはり彼の和声感は伝統的な西洋のものではないと感じた。つまり、あまり古典らしくは聞こえない。それでも、この日ここで聴いた演奏は、まぎれもなく芸術的価値のあるものだったと思う。これこそ逆に、西洋人には出来ない演奏なのかも知れない。マルティン・ディラやパヴェル・シュタイドルが弾くと、もっと普通に古典らしい範囲の中での素晴らしい演奏になるだろう。山下さんのそれは、何と言ったらいいのだろう。作曲者のソルが意図していなかった名演と言えるのかも知れない。これを機会にもっと最近の彼の演奏を聞いてみたくなった。

作品22011/01/20 23:40

作品2は琴とギターです。この曲を作る少し前、バルエコの演奏で初めてロドリーゴの《スペイン風3つの小品》を聞きました。それを聞いて、ギターのオリジナルにもこんなにいい曲があったのだと感動し、そのオマージュとして書いたのがこれです。なんとなくムード音楽的な、あまり考えないで書いている曲ですが、琴とギターのためのオリジナル作品は珍しいので、まあ、こういったのもよいでしょう。URLは
http://www.asahi-net.or.jp/~qr7s-tmym/secret/4873h846s.htm
です。是非聞いてみてください。