初めての小説2006/07/28 04:40

初めての小説を書き終わった。とは言え、今のところどこで出版するあてもない。さあ、どう動こうか。

皆様、興味ある方は下記の、出版社探しのためにまとめたあらすじを読んで、何か知恵を貸してくだされ。
http://www.asahi-net.or.jp/~qr7s-tmym/outline.htm

ちなみに内容はもちろん「心霊小説」。

心霊とサイキック、スピリチュアル2006/07/30 14:06

「サイキック(psychic)」は元々「心霊」と同じ意味だったはず。しかし研究によって心霊現象の超常性が明らかになってくると、それを生きている人の機能だけで説明しようとする一派が現れた。そしてサイキックの語はおもにその人たちによって使われ、心霊現象に霊が絡むと考える一派は、「心霊」を現す言葉として「スピリチュアル(spiritual)」を使った。

これと似たようなことが今日本でも起きているようだ。ただ、日本での言葉の分化はそれだけではない。「サイキック」が超能力を指し、「スピリチュアル」が霊的なことを指すのは、だいたい元の英語と似たような感じだ。しかし日本はそれに加えて「心霊」の言葉を、どこかおどろおどろしい、怖い霊に対して用いるようになって来ているような気がする。

心霊=怖い心霊現象関連
サイキック=生きている人が起こす心霊現象関連
スピリチュアル=霊が起こす「怖くない」心霊現象関連

なんとなくこうなって来ているみたいなので、先日書き終えた小説をこう言い直すことにした。
人生で初めての「スピリチュアル小説」!


***EVP, あるいは香奈の苦悩と喜び***
一人息子の翔を亡くした香奈は、元弁護士で、研究の末に死後があることを確信したブラン・バーデンと出会う。亡くなった息子と連絡を取れる可能性はあるという彼の話を、香奈はとりあえず聞くことにする。

ブランは元弁護士らしく、反論しようがない手堅い証拠を述べて行く。まず、歴史上最もよく調べ上げられた霊媒パイパー夫人のことが述べられた。さらにブランは体外離脱現象、その軍事利用であるリモートヴューイングについて詳しく述べ、次に、臨死体験が決して幻覚ではないことを証明し、死に直面した人たちが見る、故人やとても美しい世界のビジョンについて、確実な情報源とともに述べていく。

そんなブランの主張に、香奈は「翔は迎えに来るかしら?」とつぶやいた。この言葉をきっかけに、今までの研究でわかって来た自殺者の実態が具体例とともに述べられる。それが一通り終わると、ブランは他界が実在する究極の証拠、交叉通信について詳しく述べ始めた。これは、異なった地域に住むそれぞれ違う霊媒が受けとる、単独では意味を持たず、一緒にしたときに初めてその内容がわかるような切れ切れのメッセージのことだ。香奈はこれで死後の世界があることを完全に納得した。

再び、今度は香奈の夫、康夫も聞き手に加えてブランの話が始まった。康夫はブランのことを霊感商法の類いではと警戒し、思いつく限りの反論をする。そんな康夫のために、ブランは幽霊について客観的な裏付けも取れた目撃証言、実験室レベルでの再現について述べる。それが終わると、彼は突然知るはずのない外国語を話し出す現象について詳しく述べ、次にそれは生まれ変わりの話へと発展して行く。だが康夫は、人にどんな人格が現れてもそれは故人の記憶にアクセスしただけだと言い張る。そこへブランは、霊媒に現れる多数の人格に対して、単語連想テスト、音声分析、脳波計測をした研究を述べ、これらの人格は明らかにそれぞれ異なった人間に属するものであることを示した。

康夫がしぶしぶ納得したところで、故人との交信方法が紹介される。最初に実体化した故人と直接会う方法がまず述べられる。例として、ブラジルの大統領を含む国家的な調査チームが組まれたミラベリの能力によって白昼堂々と実体化した霊が、身体検査を受け写真を撮られた話が詳細に語られるが、結局のところ現代においてこのような霊媒を見つけるのは限りなく難しいとなる。次に非常に手軽だが決して試みては行けないウィジャ盤の危険性が述べられ、最終的にテープ、パソコンなどを用いて霊の声を受信する現代ならではの交信方法、EVPが詳しく述べられる。

この後、夫妻はEVP実験を続けるが、なかなかうまくいかない。霊能者の助け、サイキック能力に関する論文などを頼りに徐々に超常的な声を受けるものの、肝心の翔の声は全然録音されない。そんな中、翔の一周忌に行った実験で、次の言葉が録音された。
「翔はもう愛していない」