第56回東京国際ギターコンクール本選2013/12/16 14:40

以前、Andres Campanarioが私の予想を大幅に裏切って本選に出場したとき、審査員が彼のどこを気に入ったのかとても知りたくて、本選を楽しみにしていました。しかしそこに彼は、連絡なしに現れなく、後の話では食中毒で連絡もできなかったとのこと。今回も「ええ、彼が本選へ?????」という感じだったので、今度こそしっかり聞こうと、前にも増して期待していました。そしてまた、、、。
係員が電話連絡したら、もう次のホテルに移ったということで、所在も不明。一体何なのでしょう?

まあ、それはともかく、本選は非常に楽しめました。結果はこちら。
一位:Marko Topchi
二位:なし
三位:Wu You
四位:小暮浩史
五位:Thomas Ellis
六位:Campbell Diamond

今回は本当に「国際」らしいコンクールでした。皆例年なら上位三位内に入れる実力を持っていたと思います。その中でも、Marko Topchiは去年よりとても独創的で、惹きつけられるものがたくさんある演奏でした。一流のショーマンシップを見た感じ。この人の来年のコンサートは非常に楽しみです。私も彼が一位だと予想していました。
二位以下に関しては、根本的な優劣はほとんどなく、審査員の顔ぶれもかなり変わったので、どんな順位になるか全然予想がつきませんでした。逆に、今回の結果からこれからの審査の傾向が若干見える気がします。

Wu Youは他のみんなに比べて繊細さがない、逆に言えば非常に大胆な演奏。とにかく豪快に押して押して押しまくり、かなり速めの速度で飛ばしていたヒナステラの4楽章では、最後に飛ばしすぎて事故っていました。メカニズムは非常に確かでミスらしいミスは最後の方だけでしたが、全体に大味なところが、二位なしの三位ということでしょうか。

小暮浩史は今までよりもさらに進化した演奏を聞かせてくれました。彼の観客を惹き込む呼吸は、なかなか他の奏者には見られないものだと思います。ただ、ダウランドでとてもわかりやすい指のもつれが数回出てしまい、そういうミスをした人が他にいなかっただけに、やはり確実に順位を落とす要素となったでしょう。

Thomas Ellisの演奏は非常に丁寧で、音も非常に整っています。聞いていてすごく心地よいのですが、曲によってはもっとドライブ感が欲しい気がしました。上位の皆さんに比べると、ちょっとアピール度が少ない感じです。

Campbell Diamondの演奏は、一部にものすごく魅力的なところがあります。特にハンガリー幻想曲で、最後の派手な部分に至るまでの表現はとても好きでした。ただ、本人も言っていましたが、非常に神経質になってしまったようで、それが演奏に出て、全体に消極的になっていたのが最下位の理由でしょう。彼はギターを始めてからまだ4年で、その前は何も楽器をやっていなかったとのことなので、これからどんどん変わって行くでしょう。個人的にとても注目したい青年です。

それにしても、《エピターズ》という曲の良さが、最後までわかりませんでした…。私に、こういう曲を理解できる日は来るのでしょうか。