LECGC(クラシックギターコンサートを楽しむ会)2006/09/19 09:04

9/17、大倉山記念館にタイトルの会を聴きに行った。前半がアマチュア、後半がプロという構成。今回の前半は神奈川新人ギターオーディションにも入賞された中里一雄さん、後半に弾いたのは益田正洋さんだ。

中里さんは私と同じように、年を取ってからまたギターに舞い戻った人。これからもどんどん頑張って欲しい人だ。

益田さんの一曲目「私が羊歯だったらの主題による変奏曲」は10/8、スペインギターコンクール本選課題曲。一番前で食い入るように左手の動きを見てしまった。プロの左手をこれだけ近く(3mくらい)で見れるのは非常に嬉しい。見た結果、いろいろと自分の左手の動きを考え直すことになった。実はここ一ヶ月ほど右手が安定して来たので、やっと左手のことを考える余裕が出て来たところだったのだ。
ちなみにこの曲、そろそろ録音してコンクールの練習部屋にあげたい。しかし、部分部分を弾くのは問題ないのだが、暗譜がまだ極めて不確かなためそれができないでいる。

二曲目は「魔笛の主題による変奏曲」だった。この聞き慣れた曲の中で非常に面白い表現が数カ所あって、とても新鮮に響いた。打ち上げのときにそういった点が面白かったと言ったら、でもやりすぎると古典じゃなくなる、と言っていたが、私はむしろそれを聞きたい。真に古典らしい演奏は19世紀ギターでやればよいと思うし、現代のギターで新解釈で弾き、その結果古典から逸脱しても、それが芸術的であれば問題ないのだと思う。例えばロマン派の解釈によるバッハでも、ときにはいい演奏があるから。

三曲目として、レニャーニ、36のカプリスから11曲が弾かれた。これが正直、一番楽しかった。36のカプリスを全曲見ると、その中には「これはちょっと」というような曲もあるが、全体的には名曲だと思う。益田さんはそこから11曲を抜き出し、それに組曲という新たな命を与えようとしていた。

最後のコスト、ジュラの思い出は、うん、初めて聞くので、演奏よりも曲の姿を聞いていたが、好きな曲ではなかった。何か、すごくよいメロディー、パッセージが出たかと思うと、すぐどうでもよい曲の流れになってしまっていて、散漫な印象を受ける曲だった。ある人が、ピアニストは名曲をそのまま弾くだけで仕事になるが、ギタリストはダメな曲を面白く聴かせる技術がなければならないと言っていた。その言葉から行くと、今回の演奏はこの「二流の」曲を、一流まで持って行けてなかったような気がする。ただ、世界の名だたるギタリストでも、それができていない人がたくさんいるように思うが。

今回の益田さんは、前回トッパンホールで聴いたときに比べて、今ひとつメカニックの切れがないように感じたが、音楽的には今回の方がすごく面白かった。

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