バリ島のテロ2005/10/03 07:46

またバリ島でテロがあった。

9.11のときアメリカはどうすればよかったのか。当時はアメリカの報復に対して肯定的だったが、今はわからない。あの悲劇は、犠牲になった人々の関係者にとって非常につらいことではあるが、憎しみと闘争の連鎖を終わらせる絶好のチャンスだったのかもしれない。あのとき、アメリカという超大国の力を持って、「我々は報復せずに堪え忍ぶ、平和を望む」という決然とした意志を示せば、その後の世界は幾分変わったのではないだろうか。

昨日、とても考えさせてくれる文章を読んだ。その要約を紹介させてもらおう。

*****
学生時代から黒人差別克服運動に関心が深かったアメリカ人女性のエイミー・ピールは、南アフリカに渡り、歴史的和解のプロセスに参加し、ボランティアとして働いた。ノーベル平和賞を贈られたネルソン・マンデラの運動に直接関わりたいと思ったのだ。しかし、予定の一年が終わり、帰国する二日前の晩、エイミーは四人の黒人の若者に車から引きずり出され、なぶり殺しにされた。四人は逮捕され、裁判にかけられた。殺人の理由は逆のアパルトヘイト、つまりエイミーが白人だという理由だけで、仕返しとして虐殺されたのである。

それからしばらくして、エイミーの両親の許に、一本のビデオテープが届いた。殺人犯の一人の若者の母親が泣き崩れながら、息子が取り返しのつかないことをしでかしたことをお詫びし、許しを乞うているテープだった。

そしてどうなったか。エイミーの両親はその四人を赦したのだ。黒人差別を撤廃しようとして戦った娘の死が意味を持つとしたら、娘を殺した相手に怒りや憎しみを抱くのではなく、彼らを赦さなければならないと思ったのだ。

四年後に四人の若者が恩赦を願い出たとき、エイミーの両親は南アフリカに渡り、委員会に彼らの恩赦を認めてくれるよう願い出た。そして、両親が捻出した資金によって設立されたエイミー・ピール財団において、最初に雇われ、現在そこで働く数百人の中心的な役割を果たしているのは、エイミーを殺した四人の若者なのだ・・・。