ギター6重奏曲「飛翔」2012/08/11 08:52

あと一ヶ月ちょっとでこんなコンサートがあり、私のギター6重奏曲が演奏されます。

【第4回Passioneコンサート】
出演:谷川英勢,鈴木洋平,遠藤峻,濱口仁邦,中塚慧,美山華鈴
日時:2012.09月17日(月)
開場:13:30 開演:14:00
チケット:前売り2000円 当日2500円 学生1000円
場所:古賀政男音楽博物館けやきホール
曲目:
飛翔(冨山詩曜), ブルージリアン(C.アサド), チュニス チュニジア(ディアンス)
『くるみ割り人形』より(チャイコフスキー), ブラジル(ディアンス), May(丸本大悟)
ベルガマスク組曲(ドビュッシー), 7つの指輪(ジスモンチ), a Ground for 5 guitars(藤井眞吾), 他


この「飛翔」というのは元々成蹊大学ギターソサエティーのために作ったギター4パート+コントラバスの合奏曲で、約14分くらいの長さがあります。下記のような感情を綴ったわかりやすい曲ですので、是非聞きに来ていただけるとありがたいです。そもそも6重奏曲なんて滅多にやられないので、この機会を逃すと次はいつになるかわかりませんよ!


この曲は、あるとてつもない絶望に落ち込んでいる人が、希望を見いだし、自由へと解き放たれる過程を描いている。絶望の具体的な形は想定されていないが、たとえて言うならこのような感じだろうか。
ある人が過失で恋人を死なせてしまう。その恋人には寝たきりの母親がいて、その母親に罵られながらも、献身的な介護を続ける。そうして10年が経った頃、その母親はすでに認知症となって恨み言を言わなくなったが、その後もまだ贖罪の日々は続いていく。そんな感じの絶望と言えるかもしれない。

曲はひとつながりで奏でられるが、全体は大きく4つに分かれ、その中はさらに細分化されている。

○パート1
<絶望の日々>曲は重々しい「絶望の主題」によって始まる。
<行き先の分からない心>11拍子の不安なメロディー。
<あきらめ>変拍子と12音によって混乱が表現される。そこへ「絶望の主題」が戻ってくるが、その緊張感は和らいで終始する。

○パート2
<つかの間の安らぎ>一転してきれいな主題。これは心の奥底に潜む「自由への渇望」を表す。
<苦悩と焦り>8分の7拍子が「苦悩と焦り」を表現。この後、「自由への渇望」と「苦悩と焦り」の主題が交互に現れていく。
<自由への切ない想い><再び、苦悩と焦り>心の奥底では自由を欲しているのだが、そんな自分を許せない。
<どうしても自由が欲しい><自由の片鱗>隠しきれない自由への想いを少しだけ認め始める。しかし・・・
<激しい自己否定>どうしても自分を許せず、また完全な自己否定の世界に入っていく。音楽は喧噪の中、和音の連打によって終始する。

○パート3
<自由への誘い>「自由への讃歌」。これは絶望の人を救おうとする周りの声だ。
<迷い>周りから言われたからと言って、そう簡単には立ち直れない。音楽はすぐに不安な要素を持ち出す。
<昔の嫌な思い出>冒頭の「絶望の主題」が拍子を変えて再現される。
<今を生きよう>「自由への讃歌」がテンポを落とし、ピチカートの伴奏で控えめに奏でられる。
<自由へ・・・>全パートが力強く「自由への讃歌」を奏でる。

○パート4
<分岐点>音楽は突然テンポを増し、心が変化して来たことを示す。
<解放される心>分かりやすく軽快な「解放の主題」。
<昨日見た昔の夢>音楽はマイナーになり、未だに残る心の陰を表す。
<もう迷わない>「解放の主題」が再現。揺るぎなくなった心を強調。
<飛翔>音楽はどんどんと高揚し、心が完全なる自由へと上り詰めるのを表して行く。

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